小型カメラ SQ11のケースを中国の3Dプリントサービスで作ってみた

小型カメラSQ11を買ったのだが、棒状のものにぶら下げて使うためのケースが欲しくなったので、中国の3Dプリントサービスで作ってみました。
※例のごとく、質問には答えません。

結論から言うと作ったのはこれです。


これにタオバオで売っているGoPro用の三脚アダプタ(タオバオで1個2元=34円くらい)などと組み合わせて使う予定です。
こんな感じです。

3Dプリント料金は合計73元(4PXの転送用倉庫までの送料込み。1元=17円で計算すると日本円で1240円くらい)。
素材はPLA、中空処理なし。

3Dプリントで頼むのも、3Dプリンタ系は何もかも初めてだったので改良点は多いけど、とりあえず形になったものは出てきました。

誤算は、SQ11が届く前に発注してしまったため、カメラの実物を検証せずにSQ11の商品画像とだいたいのデータ(縦横高さ24mm)で発注して作ってしまったのだが、予想以上に高精度に出てきてしまって少しカメラの前後でガタがあったこと(目測で0.5~1mmくらい隙間がある)。
念のため、わずかに余裕を持たせて寸法を作り、もうちょっとガタガタ、デコボコして引っかかるのを想定してたらツルッツルで出てきました。
何か滑り止めの薄いゴムか粘着性のテープでも入れてやらないとスルっと抜け落ちます。
あとは、強度がどのくらいになるのかわからなかったので、中空処理をせずに内部が詰まった状態のデータで作ってみたが、思ったより重かった(実測35.2g)こと。
一部、中空処理しても強度が大丈夫そうなら、同じデータで作るとしたら一部だけ中空にした方がもっと軽くできるはずです。
(Meshmixerで壁厚を3mmくらいにしてカメラの全面から見て右の一番細い柱以外は中空にする感じかなぁ・・・ブツブツ・・・)

3Dプリント自体が初めてだったので、いろいろ勉強になりました。
他には、3Dプリントサービスはまだ新しいからか代理店で担当する人が素材の種類をあまり把握しておらず、材質の種類や内容の説明、価格をよく間違えること。

今回も「ナイロン(尼龙)」で作ったらいくら?と聞いてみたら、「73元」と言われたので、「ずいぶん安いなぁ、たぶん違うので来るかな?」と思って、頼んで届いたらPLAでした。
未来工場と提携してる別の店では最初「ABS樹脂なら30元」と言われて、直後に「伝え間違えました。400元です」となったり。

中国に住んでたら返送して作り直してもらうかもしれないけど、転送なので面倒すぎたのと、思ったよりも高精度で出てきたのでOKってことで(ぐぬぬ)。

3Dプリントに使うデータも、作りたいものの形状が単純なら、FreeCADとかのソフトウェア上で円柱や四角柱の足し算引き算してやれば比較的簡単にできることがわかったので、そのうち3Dプリンタを買って家でも作ってみたいなと思いました。
3Dプリントの一番の問題になりそうなのは、この自分が欲しいデータの作成かなと思いますので。

さて、最初はGoProアダプタに取り付ける部分(ヒンジなど)を含めて、SQ11カメラのケース側は全て3Dプリンタで作ってしまおうかと考えていたため、3Dプリントするデータを作って後述の3Dプリントサービスにデータをアップロードしてみたのですが、細かく作ったり、材料を多く使う構造になるとお値段が結構高くなってしまうことがわかったので、考慮の結果、どうにか安く作る方法として、大量生産されて安価に販売されている部位はタオバオで買い、3Dプリントしたものと組み合わせることで安価にできるようにしてみました。

あと、Goproの関連アダプタに付けるためのヒンジ部分(ずっと下の方にある写真参照)は力がかかるので、3Dプリントで出力したものよりも、型に流し込んで作った大量生産品の方が強度がありそうと考えたのもあります。
(タオバオで探したこの大量生産品のヒンジの部品については、アルミ合金製とABSと思われる樹脂製の2種類がありましたが、接着する可能性も考えて樹脂にしました。)

そもそも、なぜ3Dプリントサービスを使おうかと思ったかですが、当ブログの文章を見ても読みにくい長文で書いてみるも、途中で面倒くさくなって適当になっていく性格もあり、最初から3Dプリントするデータを作ってみようと思ったわけではないです。

SQ11カメラは前のモデルのSQ8(SQ9?)などと並んで結構売れているはずが、商品自体はどこの誰が作ってるのかいまいちわからないマイナーなノーブランドのカメラであり、当然ながらそういう怪しげな商品は周辺オプションのサポートもよくありません。そこまでして作っても大手メーカの商品向けみたいに売れないし。

ただ、SQ11は小型軽量で、画質も比較的マシということで、ドローンを飛ばす人たちにはそれなりに人気があるらしく、20度または30度の角度で固定できるドローン用のケース(3Dプリントで出力したものや、レーザカットで作ったっぽい板を組み合わせる等)はいくつか見つかりました。しかし、いまいち希望の形がない。

・・・・んー、3Dプリンタで印刷すればいいんじゃないか?
と思ったが、まだ3Dプリンタも持っていない。
あと、データはどうしよう?

というわけで、データについては

Thingiverse
https://www.thingiverse.com/

という3Dプリントのデータを集積したウェブサイトにあったSQ11用ケースのSTLデータを使って作ろうかと思ったのですが、結局、細かい点で自分の要求に合わなかったため、最終的にはFreeCADとAutocadのMeshmixerを組み合わせて、(まだSQ11の現物がなかったので)他の人が作ったデータから形状や寸法データを参照し、操作性が良いマイクロソフトが配布してる3D Builderでチェックしながら作りました。

3Dプリントするデータの主要部分はFreeCADで作っています。
FreeCADで作った3DプリントするデータをMeshmixerにインポートすると、3D印刷に向いた向きに補正したり、中空処理などが簡単にできます(3Dプリンタは出力するにあたって、苦手な形状や苦手な構造があるようです)。

マイクロソフトの3D Builderはデータの整合性チェック(3Dデータに破たんがないかどうか)がマウスでグリグリして外観のチェックを簡単にできます。
操作性は一番好きですが、3D Builderは寸法を決めて図形を作成したりの細かい作業には向いていない感じです。

という経緯で3Dプリントするデータはできましたので、次は3Dプリントです。
実際はデータを作りつつ、飽きたらプリントサービスを探す(とか、自分と同じことを考えて同じようなデータがないかなぁ?とネットで探す)というのをやってました。

最初は英語圏や日本の3Dプリントサービスを使ってみようかと思ったが、結構・・・お高い。

で、安いサービスを探すなら中国ならあるかな?と思って、タオバオで探してみると結構、3Dプリントサービスがあることがわかり、プリント依頼することにした次第です。

STLデータが完成して最初に頼もうと思ったのが、

未来工场(We Next 未来工場)
http://www.waleyworks.com/

というサービスと提携しているタオバオのお店。

結局、価格の関係で選んだのが、

魔猴网(魔猴網,ムォホウ・ネット)
http://www.mohou.com/

というサービスと提携している天猫(タオバオの高級版)のお店でした。

直接、上記の各サイトでアップロードした後にアカウントを作ってプリントを依頼すると割引などがあるのですが、4PXでの転送や支払い方法の関係上、少し手数料を取られてもタオバオ(または天猫)上のサイトで依頼した方が楽なのでそのようにしました。

いずれのサービスとも提携して受注しているタオバオのお店が複数あり、「3D打印服务」で検索するといろいろと出てきます。

未来工場も魔猴網も3Dプリントの依頼に必要なSTLファイルを事前に各サービスの公式サイトでアップロードし、素材や納期(24時間、48時間、72時間など)を選ぶと自動的に価格を計算してくれるので便利です。

何れも個人向け3Dプリンタではなく、印刷速度や精度が良い工業用3Dプリンタを使って比較的高品質な印刷してくれるというのが売り。
3Dプリントの他にCNCでアルミ部品を加工してくれたりというのもあります。

2つのサービスについて、自動で何度もデータをアップロードしてはチェックしてみたのですが、未来工場の方が少し高めで計算される感じです(品質の差は依頼してないので不明)。
あと、未来工場は穴など表面積が増えるとどんどん価格が上がる雰囲気です。

冒頭のデータで中空処理していないものをアップロードすると未来工場は未来樹脂は71.64元(1000円ちょい)、ナイロン(ポリアミド?)を使うと271元(約4600円)で計算されました。
未来工場の公式サイトで271元くらいで計算されるデータをタオバオの代理店に渡して値段を聞くと、さらに高くて400元(6800円)前後くらいで計算されます(手数料分が乗っていると思われる)。

サービスに関わらず、Meshmixerなどで中空処理をしたデータを使うと、使用する材料の総量が減るからなのか、何割引きくらいにはなる感じです。
(Meshmixerで中空処理をすると、初期設定では壁の厚さが2mmとかの設定のはずなので、私用する材質に合わせて適宜、設定を調整する必要があると思います)。

後者の魔猴網は素材の単価とその使用する量に価格が比例するのは同じですが、穴が増えて形状が複雑になっても価格はあまり変わらない感じでした(少なくとも私が発注した時点では)。

比較的小さい物となる今回のデータでは
素材をPLA(0.8元/g=13.6円/g)、中空処理なしだとなんと31元(527円)。未来工場の半額くらい。前述と同じ中空処理ありだと23元(391円)でこちらは3分の1くらいの金額で計算されました。

この条件でタオバオにある魔猴網のサービスを仲介する代理店に頼むと73元で計算されました。
結構、手数料分が載ってますね(それで利益を得ているわけだから)。

以下、作ったケースの写真など。

上記画像の左側がSQ11のカメラのレンズが来る側です。SQ11(赤い色の部分)が入ってる部分の凸状の段差はSQ11の電源ボタン、モードボタンが出っ張っているために作った隙間です(SQ11の実物が手元に来る前だったので、適当に推定して作りました)。
この形状にした理由は棒状の物の下に取り付ける予定だったのと、カメラの操作や作業上、棒の左側からアクセスした方が都合が良かったのでこの形状にしました。

ネットに転がっているSQ11のデータはSQ11を撮影対象に向けた状態で見ると、今回作ったデータとは反対側のMicroSDカードやUSBポートがある側から挿入する形式もあったりします。
しかし、MicroSDカードがある側から挿入すると、衝撃などでMicroSDカードが外れてしまったり、USBケーブルにひっぱられて、カメラもケースから抜け落ちてしまう可能性を考えたため、この形状になりました。

電源ボタン上部の隙間が写るかな?と思ったが厳しそう(じゃあ、なんでこの画像をアップロードしたのか・・と)。
目測でテキトーに見た感じで0.5mm未満くらいの隙間がある感じです(ちゃんと手持ちのノギスを使ってSQ11とケースの両方を計ればいいのですが、ここに性格が出ています)。
別にこれ自体は困りません。

こういうGopro向けの大量生産で安価な樹脂部品をカメラの上につけています(4枚上の写真のように)。
タオバオで1個2元でした。素材はたぶん・・ですが、ABSとかじゃないかと思います。

カメラをケースに挿入する穴とは反対側に開いた穴です。
電源供給用にUSBケーブルを挿せるように穴を開けました。
カメラ本体が届く前に「USBケーブルがちゃんとささって、MicroSDメモリが衝撃で抜けなければいいか」という程度の考えで、だいたいの予測でデータ上で穴を開けたので、こんな中途半端になっています。

USBケーブル穴からUSBケーブルを挿した状態。
SQ11だけケースに入れると、ツル~んと落ちてきてしまうのですが、こうやってUSBケーブルを挿すと、反対側からUSBケーブルにひっぱられるので、ケースの隙間を埋めなくても少し落ちにくくなります。
まあ、ゴム板とかを貼って、USBケーブルが無くても抜けても、SQ11がケースからずり落ちないようにはしますが。

上の方の写真の黒いGoproのヒンジ部品のネジを差し込む部分です。
プリントするまで素材の強度が分からず、接着するつもりでいたので、ネットで見つけたM4ネジの規格のデータを見て、ちょっと緩めに作ってあります。
キツキツに作ったり、後で穴を開けたりとかも考えたのですが、その作業中にせっかくのケースが割れたら嫌だなと思いまして、こうしました。

最初に3Dプリントを依頼しようと思った未来工場のサービスだと、穴1つ増やしてもお値段も変わるため、自分で穴をドリルで開けようかとも考えたのですが、魔猴網の方だと、穴を増やしても材料が減る分、少し価格も下がるくらいだったので、作りました。

最後に今回、私が作って使用したデータをアップロードします。
あとで、他のどこかに移すか、ネットから消すかわかりませんが、もし改良するための下地にしたいという変わった方がいましたら、どうぞ。
このままPLA素材などで3Dプリントしても、SQ11カメラが横からすっぽ抜けるユルユルのゴミデータなのでご注意ください。未完成で改良が必要です。

STLデータ
https://drive.google.com/file/d/1yr7m81slHDY28_nx2n0QpkYsV8rlT8RA/view?usp=sharing

FCStdデータ(FreeCAD)
https://drive.google.com/file/d/1jfaKh3SOybkEkqKVtK9nD1BA9f5lBiFv/view?usp=sharing